ホッケー研究
〜 チームのプレイヤーとして 〜


その9 1対1の考え方(オフェンス編)

これはみなさんすごく興味のある話ではないでしょうか?
1対1で相手を抜く事は、ゴールを決める事に並ぶぐらい気持ちいいものですよね?
僕はゴールよりも、この瞬間の方が好きです。

で、1対1で相手を抜くには3つの策があります。

上策・・・スピード(脚力)のみで抜く
中策・・・スピードとフェイント(ドリブル等)を織りまぜて抜く
下策・・・フェイントだけで抜く


ここで「あれ?」と思う人もいるでしょう。「上と中が逆では?」と。
スピードとフェイントを織りまぜた方が難易度が高く、決まるとかっこいいので、上策と考えるのは普通といえば普通です。

では検証してみましょう。

下策であるフェイントだけでというのは、小手先のドリブル等による抜き方ですが、足はあまり動いていないので身体はほとんど移動していません。
なので、抜いてもすぐにチェックをかけられます。相手を抜くというよりは、パスやシュートの一瞬のチャンスを作る時のみ有効なものです。

中策のスピードとフェイントを織りまぜる事については、それが上級者ともなれば、相手のデイフェンスは相当手こずるでしょう。
しかし、冷静に考えると、パックを奪う事だけが目的のディフェンスと、パックキープしながらパスやシュートを考え、さらにフェイントをかける運動量が必要なフォアードでは、どちらが身軽か見当がつきます。
実力が五分の接近戦なら、カットされる確率は以外と高いのです。
フェイントをかける事でスピードが落ち、さらに1対1に集中してパスもシュートも考えられないのでは、たとえ1対1の攻防に勝利しても、その時点で敵の守りは堅くなっており、味方はどう動いて良いやら困惑するケースもあるのです。

上策のスピードだけで抜く事に関しては、とにかくパックをキープしながら、トップスピードで動くのです。これはどんなに上手いディフェンスでもチェックをかける為には必死に追いかける必要が出てきます。下半身は1対1で抜く事に集中し、上半身はパス、シュートに集中するという考え方でしょうか。とてもシンプルで理想的だと思います。
チーム全体をスピーディーな展開へと持って行く効果も考えられます。
フェンス際で追い込まれても、切り返しスピードとそのあとの逃げ足が速ければ、フェイントなど入れなくても抜ける可能性は高いです。(それ自体がフェイントとも言われそうですが・・・)
僕が守っていて、このタイプの人が一番イヤです。

ここまでの説明で、なにもフェイントが悪いと言っているのではなく、

「フェイントは失敗するリスクがある」

「フェイントは運動量の余計な消耗や、身体本体の移動スピードの減少がある」
「スケーテイングだけで人を抜けるなら、上半身はパスやシュートに集中できる。」
「1対1は、スティックの素早さではなく、身体本体の移動速度が重要」
「フェイントはあくまで補助動作であり、基本はスピードが命!」
だなーと思っています。

1対1ではスティックワークよりもスケーティングが大切なのではと思います。
初心者等の場合、個人技を考えるにあたり、華やかなスティックワークに目を奪われがちですが、スケーティングを研究する事こそ、1対1を華麗にする為の第1歩でしょう。

みなさんが期待していたものとはちょっと違う内容だったでしょうか・・・。
1対1の「技術的」なものは、図解とか必要になりそうなので、また今度・・・。


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